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アストラッド・ジルベルト「おいしい水」

20代の終わりのころ、結婚退社する先輩が「自分があなたくらいの年に聴いていたCD」と言ってプレゼントしてくれたのが、アストラッド・ジルベルト「おいしい水」でした。
アストラッドといえば「イパネマの娘」、スタン・ゲッツとの共演、というぐらいしか知りませんでしたが、ある意味メジャーな「イパネマ」より、彼女の魅力が伝わる1枚のような気がします。
アストラッドは、正式な音楽の訓練をほとんど受けていないと言われます。それゆえかもしれませんが、この人の歌い方は決まり切った型にはまらず、聴衆に対する「媚」のなさは、そっけなささえ感じます。それは私がそれまで勝手に抱いていたボサノヴァのイメージを塗り替えるものでした。
アストラッドの痛々しささえ感じる歌声は、抒情的になりすぎず、「邪魔にならない」けれどもくせになるーという類に思えます。個人的にはカフェやクラブで飲み物を片手にいつまでも聴いていたいーそんな曲です。
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author : cpbadm-f | - | -