意外と好きだった場所

この場合、コンサート会場そのものは除きます。
それ以外でクラシックを聞く、私の好きな場所は図書館でした。
子供のころ通っていた図書館では、たくさんのレコードを聞くことができました。膨大な手書きの目録をめくり、紙にメモして係員に渡すアナログさも今となっては懐かしいです。今は残念ながらほとんどCDになったようです。
音へのこだわりはある方でなく、また語ることもあまりできませんが、レコードで聞くクラシックは、たとえイヤホンであっても表現しがたい格別なものでした。
時折入る雑音もまた良し。
あの時聞いた音に比べると、CDは整いすぎて、優等生の発表を聞いているようなところがあります。
最近は調べ物をしていてネットで検索し、一部だけ聞くこともありますが、つい画面に目が引っ張られるせいか、演奏が最上のものでも薄く聞こえてしまいます。
あの図書館の匂いが久しぶりに懐かしくなりました。
似た感覚を味わうために、レコード喫茶でも探しましょうか。
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ラフマニノフ 前奏曲「鐘」

ラフマニノフの前奏曲嬰ハ短調。
音楽院を卒業したばかりの若かりし頃、作曲されました。
最も有名な作品の一つです。
スケートの浅田真央選手がフリーの曲に選び、一躍有名に。解釈やその選択をめぐって、話題にもなりました。
曲は憂鬱な和音のパターンが続き、抑えたままフィナーレへ。
小品集に収められた短い曲ですが、存在感があるおとなの曲です。
冒頭の美しい響きは、そのままロシア正教の教会の鐘の音に重なります。
以前住んでいた町にはいくつかの教会があり、その中でもロシア正教の教会の鐘の音は印象的でした。決して明るくないけれども、清浄で荘厳な響き。あの鐘の音と街の情景を思いながら、この曲を聞きます。
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リストピアノ協奏曲第一番

フランツリスト国際ピアノコンクールで、日本人ピアニストの後藤正孝さんが優勝しました。リスト生誕200年にあたる今年、うれしいニュースです。
演奏はピアノ協奏曲第一番。
カデンツァが多用される華やか、かつ豊かな曲調で、オーケストレーションも絶妙。ロマン派の中では豪華なイメージのある曲です。
しかしミーハーと言われてもリストの技巧を見せつけるような曲が好きな私には、通好みという印象があり、実は今まであまり聞いたことがありませんでした。
後藤氏の演奏の詳報を楽しみに待っています。
悲しみをもって日本が世界のニュースで語られる今、心から明るく、うれしい知らせでした。
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