浮世絵

浮世絵が好きです。
人々の暮らしや風俗を生き生きと伝え、描かれている世界をとても身近に感じます。
中でも好きなのは東海道五拾三次。日本橋「朝之景」には、青物売りや魚売りが、体をかがめて商品を背負い、橋を渡る姿が描かれています。
片隅には猫らしき動物。身分制社会の中であっても、市井の人々が生き生きと歴史を織りなしていたことを感じます。
構図や中身にばかり注目していましたが、歌川広重の絵は「ヒロシゲブルー」と呼ばれる藍色の美しさに特徴があると知り、できるだけいい状態で色を鑑賞したいと思うようになりました。
「品川(日の出)」の海の色、「川崎(六郷渡舟)」の多摩川の色。
歌川の目にはどのように映っていたのだろうと、今の街の姿に重ねながら思うーこれも東海道五拾三次の楽しさです。
-
author : cpbadm-f | - | -

指南本

久しぶりにクラシックの聞き方を指南する本を一冊買いました。
ネットのレビューを見て選びました。
形式にあまりとらわれず、時には譜面に忠実な演奏を否定しながら、とつとつと好みをつづるタイプの本です。
本当に好きなんだなあ、と感心する一方で、出てくる曲や演奏家を自分の耳でもう一度たどりたくなります。
それは、例えば有名作家がごく個人的に自分の愛読書について書いた本を読む楽しさと似ています。
自分の好みと違っても作家のフィルターを通すと、その本が違って見えてくるのと同じように、やはりクラシックも感じ方や観点で聞き方が広がってくるように思います。
ところでこの本を読んで、一番賛同したのは女流演奏家についての評でした。いわく、男が理屈で考えるのに対して女は直感を大事にする、それは神に通じるものがある、と。
感性で漠然ととらえていたものを表現してもらえたようで、とても気持ちよく感じました。
-
author : cpbadm-f | - | -

演奏会ドレス

コンサートで演奏以外に楽しみにしていることのひとつに、出演者の衣装があります。
もともと貴族のサロンなどで演奏されていた名残なのでしょうか、クラシックコンサートでは、あまり突飛な服装は見かけることはありません。それも長く培われた歴史という感じがして好ましいです。
特に声楽は、表情も含めた総合芸術という意味合いが強いせいでしょうか。ことさらに女性の出演者の力が入っているように思います。
楽器の演奏に比べて体の動かしやすさなど制約も少ないため、選択肢がことに広いのかもしれません。
体型も比較的大柄な方が多いので、体型カバーという観点からも選択に力が入ると聞いたことがあります。
日常の生活ではTPOという言葉自体、死語に近いと感じることがままあるぐらい、よい意味で自由度の高い社会になっていますが、だからこそクラシック業界の古きよきものを守っている姿勢は、好ましく感じられます。
-
author : cpbadm-f | - | -