ヴィヴァルディ 調和の霊感 第2番

中学時代にチェロを始めて、最初に演奏した「本格的な」曲がこれでした。
「調和の幻想」とも訳されますが、好んで「調和の霊感」と呼びたいと思います。
ヴィヴァルディといえば、「四季」が有名ですが、個人的にはこの曲が一番好きです。「四季」には、王道中の王道を歩いてるようなメジャーさ、華やかさ、誤解を恐れずに言えば能天気な感じすら抱くのですが、「調和の霊感」はもっと神聖なイメージがあります。
かといって難解でもなく、緩急が入れ替わり展開するスタイルは聴きやすく‐好きな曲のひとつです。
調和の霊感―そのタイトルには‐訳し方の問題はあるにせよ‐、司祭であったヴィヴァルディが、大いなる存在から何かを感じ取って曲を作り上げる、という意識を持っていたのかもしれないと思います。ちょっと勝手な想像がすぎるでしょうか。
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アストラッド・ジルベルト「おいしい水」

20代の終わりのころ、結婚退社する先輩が「自分があなたくらいの年に聴いていたCD」と言ってプレゼントしてくれたのが、アストラッド・ジルベルト「おいしい水」でした。
アストラッドといえば「イパネマの娘」、スタン・ゲッツとの共演、というぐらいしか知りませんでしたが、ある意味メジャーな「イパネマ」より、彼女の魅力が伝わる1枚のような気がします。
アストラッドは、正式な音楽の訓練をほとんど受けていないと言われます。それゆえかもしれませんが、この人の歌い方は決まり切った型にはまらず、聴衆に対する「媚」のなさは、そっけなささえ感じます。それは私がそれまで勝手に抱いていたボサノヴァのイメージを塗り替えるものでした。
アストラッドの痛々しささえ感じる歌声は、抒情的になりすぎず、「邪魔にならない」けれどもくせになるーという類に思えます。個人的にはカフェやクラブで飲み物を片手にいつまでも聴いていたいーそんな曲です。
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バッハ カンタータ147番

 有名な「主よ人の望みの喜びよ」を含むバッハカンタータ147番「心と行いと生活では」を聴いています。
 「心と口と行いと生き方そのものが、キリストが救世主である証とならねばならないー」
 初演されたのは処女懐胎を知らされたマリアがエリザベトを訪ねる祝日の「マリア訪問日」であり、曲もマリアとそのマニフィカトが中心となっています。
 その中で「主よ人の望みの喜びよ」は、いろいろな形態で演奏されているものの、パイプオルガンの曲として、多くの日本人が思い浮かべる楽曲ではないでしょうか。
 笑ってしまうような話ですが、以前にいわゆる「酒とバラの日々」を楽しんでいた友人が、観光で行った海外の教会でこの曲が流れているのを聴き、すっぱり放埓な男女関係を断ち切って生き方を変えたことがありました。
 この曲はキリスト教に対する知識不足と、日本語訳の難しさもあって、いまだになかなか明瞭に理解、解釈できません。しかし宗教音楽には、どこか、人間の善性に訴えるものあるのではないかと思います。
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ダマーズ

フルート関係の調べ物をしていたら、無性に聴きたくなったのがダマーズ「フルートとピアノのための変奏曲」。
ダマーズといえば、母親がハーピストであったこともあり、ハープの曲がよく知られています・・というかハープやフルート演奏者以外にはあまり名を知られていないという側面もあり、再評価の待たれる作曲家です。
ダマーズの曲を聴くと、思い浮かぶのは、なぜか数学でいう「展開」。項と項が結び付き、どんどん開いていくあれです。
多彩な音が五線譜からこぼれおち、噴水のようにあふれる瀟洒な作風は、春風を思わせます。
このCDの奏者は京都市交響楽団首席奏者の清水信貴氏。ソフトな雰囲気、抒情的になりすぎない軽やかなテクニックが、心なしかダマーズの作風にぴったり合っているように感じます。
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