第九

クラシック関連のあるサイトの集計によれば、今年の年末、全国で演奏される「第九」は、オーケストラと合唱団による全曲演奏だけで160回にも及ぶそうです。
最初はドイツで大みそかに演奏されるのにならったという説もありますが、戦後、楽団員が正月の「餅代」を稼ぐために演奏するのが広がり、定着した、といわれています。大人数で構成されるため、その友人や家族などで一定程度の客数が担保されるというわけ。
でもここまで定着したのは、感謝と喜びで一年の終わりを迎える日本人の精神性に、マッチするものがこの曲にあるからではないか、と思います。
新潟では、12月27日に第10回新潟第九コンサート2009がりゅーとぴあで開かれるようです。CDもいいですが、この時季にはやっぱり生の「第九」が聴きたいです。
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ホールの物語

コンサート施設には、それぞれの「物語」があるような気がします。
それは建物にまつわるものだったり、演奏家にかかわることだったり。
芸術の舞台だからかもしれませんが、単なる建物という以上の存在のように思います。
以前住んでいた場所で、よく演奏を聴きにいったある中規模の公営ホールは、目立った特徴はありませんでした。土地柄だったのか分かりませんが、観客のマナーがよくないという声さえありました。
そのホールの幹部になった職員が、とても音楽好きの人でした。
彼はまず、プログラムに演奏会を聴く際のマナーを書き記すことから始めました。楽章の途中で拍手をするのはやめましょう、演奏中にプログラムをめくるのはやめましょう・・。表現は柔らかでしたが、演奏を聴きに行って説教をされているようだと、当初は批判の声もあったそうです。
それが何年か過ぎ、この施設は観客のマナーが良いという評判が立ち始めました。聴衆だけでなく、演奏家たちにも。ここで演奏したいという声も上がり、名の知れたアーティストたちのコンサートも開けるようになりました。今では遠方からも人々が足を運ぶホールのひとつです。
最初は地道な一歩でしたが、音楽の楽しみ方を伝えることで、ファンのすそ野を広げたことは間違いありません。
今でもその建物のたたずまいを懐かしく思い出します。
幸せなホールの物語です。
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ロストロポーヴィチ・チェロコンクール2009

若手チェリストの登竜門、ロストロポーヴィチ・チェロコンクール2009で栃木県出身の宮田大さん(23)が優勝しました。日本人は初。
バイオリンやピアノの国際コンクールで日本人の優勝は珍しくなくなりましたが、チェロは聞いたことがなく、嬉しくなりました。
宮田さんは2005年に日本音楽コンクールチェロ部門で優勝した若手のホープ。音楽好きの友人が、演奏はもちろんのこと、不謹慎ながらそのイケメンぶりを話題にしていました。
ファイナルで演奏したのはドヴォルザークのチェロ協奏曲。来年1月に東京・杉並公会堂で行われる日フィルのニューイヤーコンサートでも、この曲の演奏が予定されているそうです。
聞きたい・・。
各地で凱旋公演をしてくれないでしょうか。
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G-CLEF

CDの整理をしていて、懐かしいアルバム数枚を見つけました。
1994年に解散した「G-CLEF」です。
バイオリンとチェロ、ピアノにパーカッションが紡ぎだす音楽は、クラシックにとらわれないボーダーレスな新ジャンルで、葉加瀬太郎らの「クライズラ―カンパニー」とともに一時代を築きました。
CMソングから火がつき、今でもテレビ番組の挿入歌などに登場する耳慣れた存在。
メンバーがいずれも東京芸大の出身で、高度な技術をもちながら、クラシックの世界を飛び出した、という雰囲気が広くファンを引き付けたように思います。
私がG-CLEFの名を知ったのは中学時代。サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」を編曲した同名の曲を聴きました。おなじみのバイオリン独奏に続き、テンポよくアレンジされた旋律は、原曲を過度に尊重するでも壊すでもなく、ただ「音楽って楽しいー!」という思いをもたらしました。コンサートでバイオリンを弾きながら客席を駆け上がるパフォーマンスも話題になりましたが、それも自然で嫌味がなく、「音楽の延長」に映りました。
小遣いをためてはCDを一枚一枚買い、東京在住の姉に頼んでは関東地方の彼らのFM番組を録音してもらって聞いたのも懐かしい思い出。解散してもう15年になりますが、時々無性に聞きたくなります。
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