ラストコンサート

知人のフルート演奏家が事実上、引退しました。
演奏活動のかたわら、地方都市の教室でフルートを教えていました。
まだ40代なので、エッとちょっと驚きました。
教室の生徒が減ってきたのも一因と言います。日本でのフルートの生産台数はピアノに次ぐ、とも聞いたことがありますが、有数の輸出国でもあるので、演奏人口となるとどうなのでしょう。
ラストコンサートは自作の曲を中心に、バッハの無伴奏フルートパルティータイ単調、それにポップス系の曲が織り込まれていました。
地域の歴史文化に根差した曲も作っていた人なので、残念な気がします。
第二の素晴らしい人生を、祈りたいと思います。
-
author : cpbadm-f | - | -

ブリテン

最近、英国の作曲家・指揮者、ベンジャミン・ブリテンの名を聞くことが増えました。
ブリテンというと、すぐ思い浮かぶのは「青少年のための管弦楽入門」「戦争レクイエム」。そして今秋、新国立劇場でバレエ「パゴタの王子」が初演されます。2年後に生誕100年を迎えることもあって、これまで比較的マイナーだった曲が演奏される機会も増えています。
この「パゴタの王子」は、バリのガムラン音楽に影響を受けていることでも知られます。
どこでガムランに?と、以前から疑問でしたが、現地を旅行して影響を受けたようです。発表された1956年当時の状況が今ひとつピンとこなかったのですが、自由に渡航滞在できたのでしょうか。
「パゴタの王子」は、全曲を聞くには意外に選択肢が少ないようです。
ユニバーサルミュージックが没後30年を記念して2006年に自作自演盤をリリースしていますが、今は入手が難しい状況。何とか中古を探して聞きたいと思っています。
-
author : cpbadm-f | - | -

音楽と動物

たまたまネットで見ていて、写真の面白さに惹かれました。
一人の女性が海に向かってバイオリンを弾いています。
サントリーのHPの中にあった椎名誠さんのエッセーでした。
アイラ島でアザラシを相手にバイオリンを弾く女性を扱っていました。女性が岩の上に立ち、海に向かってバイオリンを弾き始めると、アザラシが次々と頭を出し、終わると海へ帰ってゆくと言います。
この文章を読んでいて思い浮かんだのは、セロ弾きのゴーシュでした。
ご存じ宮沢賢治の童話です。町のオーケストラのセロ弾きゴーシュが自宅を訪問してくる動物を相手にセロを練習する物語。
もともと音楽は、鳥のさえずりや小川の流れなど自然の音を模倣していると考えられる側面があり、それゆえ動物にも心地よいと感じることができるのかもしれません。
動物と人間の音声系列を分子レベルから行動レベルまでさまざまな階層にわたって分析する学問もあります。動物も人間もひとつのいのちーという感じがして、好ましく思います。
-
author : cpbadm-f | - | -

一斉演奏

先月、台湾で子供4645人が一斉にバイオリンを弾き、ギネス記録を更新した、というニュースを聞きました。
報道によると、参加したのは3歳から18歳まで。これまでのギネス記録はロンドンの4000人だったそうですが、今回の演奏は、規定の5分間を30秒上回るものだったと言います。
演奏が行われた台湾中部の彰化県は、バイオリン教育に力を入れているとのこと。さぞ壮観だったことと思います。
向かいのおばあさんが弾いている大正琴の音色を聞き、こちらも一斉演奏の記録があったはずだと思いついて調べたら、2009年に琴伝流が2864人のレコードを打ち立てていました。
何の曲を、どんな形で、といった具体的な様子を知りたいところですが、この手のニュースは短いのでその術がなく、数千人規模の響きに思いを馳せ、想像するのみです。
大勢による一斉演奏といってほかに思いつくのは、サントリーの「一万人の第九」。気づけばもう冬の声を聞く季節になりました。震災のあった今年は、一斉演奏による連帯感に特別のメッセージを覚えそうです。
-
author : cpbadm-f | - | -