山下洋輔の世界

日経新聞の「私の履歴書」を読みながら、ジャズピアニストの山下洋輔さんのすごさをあらためて感じています。
私が文学と音楽を行ったり来たりしている人、というイメージを強めたのは、山下さんが文を書いた絵本でした。「もけら もけら」というこの本は、ジャズで聞こえる世界を言葉で表現したものと思われます。「えぺ ぴて ぱて」「じょわらん じょわらん」・・・。「ジャズ語」ともいえるような文が、モダンアートの挿絵とともに展開します。
一方、よく知られている「寿限無」は逆に、落語をもとにした音楽。自身の著作も数多く、音楽だけでなく、文学にも表現のチャンネルをもつ豊かな才能に、ただ感嘆します。
もとは音大の作曲科出なのでクラシック形式の曲も多い上、「ピアノ炎上」や封鎖された大学内での演奏など伝説的なエピソードは枚挙に暇がありません。
奇才、その言葉がふさわしいアーティストです。
-
author : cpbadm-f | - | -

ヘンゼルとグレーテル

12月の公演情報の中に、オペラ「ヘンゼルとグレーテル」を見つけました。
大好きなオペラです。
クリスマスの季節、バレエなら「くるみ割り人形」、音楽なら「第九」、そしてオペラなら「ヘンゼルとグレーテル」が定番です。
森へいちご摘みに行った兄妹のヘンゼルとグレーテルは道に迷い、眠りの精に眠らせられます。露の精のおかげで目を覚ますと、そこに「お菓子の国」が・・・。
子供ならだれでもあこがれる「お菓子の国」がこの作品のモチーフです。
音楽はフンパーディンク。最初に知らずに聞いたときはワーグナーかと思いました。
後でワーグナーの下で働いていたことがあり、道理で手法もトーンも重なるはずです。
もとはフンパーディンクが親族のために家庭劇にしたものを作曲し直したという作品。後に婚約者へのプレゼントになったといいます。作品全体にあふれる愛を感じるのはそのせいでしょうか。
-
author : cpbadm-f | - | -

クライスラー×ラフマニノフ

芸術は「横」に見るとき、面白さが増幅する、と思います。
音楽家であれ、画家であれ、その時代に一緒に生きた他のアーティストとの交流を知ると、作品を深く味わえるように思います。
例えばクライスラーとラフマニノフ。
この二人は同時代を生き、全く違う性格ながら親しく付き合っていたと言われ、アンサンブルも残しています。
有名な「愛の喜び」「愛の悲しみ」もクライスラーの原曲をラフマニノフが編曲したものです。
二人とも大好きな作曲家ですが、一体、どんなやり取りを重ねながら後代に残る作品を創り上げていったのでしょうか。
資料に残る人となりも、作品のイメージも全く違う二人。
遠い国の、昔昔の人であることの多い芸術家の人間としての横顔が、くっきりと立ち上って、身近に感じられてきます。
-
author : cpbadm-f | - | -