世阿弥生誕650年

今年は世阿弥の生誕650年です。
4月には、「スーパー能」と銘打ち、世阿弥に関する物語を扱った新作が上映されました。
手がけたのは梅原猛先生。
スーパー歌舞伎、スーパー狂言に続く、スーパー能。
せりふは現代語なのが特徴でした。
確かに、能初心者のシンプルな感想は、「意味がわからない」であることが多いと言いますから、そこをクリアすれば、伝統文化の迫力で、初心者も惹きつけられたことと想像します。
歌舞伎は最近は層を広げ、若い女性の鑑賞者も増えていると言いますが、果たして能は。。
それを考えるために、「風姿花伝」を読み直したいと思います。ただし、もちろん、現代語訳のものです。
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シューベルト「幻想」

今日の一曲は、シューベルト。
ピアノ・ソナタ18番ト長調「幻想」。いわゆる「幻想ソナタ」です。
なぜかというと、読んでいた短歌雑誌に、この曲名が出てくる作品があり、ふいに聞いてみたくなったという。
短歌の作品の方はレトリックがふんだんに使われている感があり、よく解釈がしきれないのですが、「幻想」の演奏を聴けば、その時の短歌の作者の気持ちに近づけるのではないか、とそんな理由でした。
幻想という日本語は儚さ、あやうさ、といったものを連想させるようにも思うのですが、この曲は少しイメージが違って、優雅で静かな力を湛えているという気がします。
どうしてだか雨の日に聞きたい気がする「幻想」。
聞いていると、左脳が静かに閉じていくかのようです。
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グールド

ずいぶん更新が滞っていました。
きょうはグレン・グールドを聞いています。
カナダのピアニスト。
異才、という言い方がしっくりくるでしょうか。
いろいろと伝説の多い演奏家ですが、何と言っても、一風変わった存在を決定づけているのは、演奏中のハミングでしょう。
ハミングといっていいのか、呻きといっていのか。
興に乗っての結果だということで、これも演奏の一部と私は理解していますが、やはりユニークというべきでしょう。
そのキャラクターも含めて、時々、グールドの曲をいつまでも聴いていたい気持ちになります。
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ラファエロ展

今月はじめに終わってしまった話題ですが、国立西洋美術館の「ラファエロ展」に注目していました。
日本初。作品が貴重すぎるゆえに、外へ持ち出しできないという事情だと何かで読みました。
ラファエロの作品のトーンは、優雅、豊穣…。日本人の目にも親しみやすい画家の一人ではないかと思います。
ラファエロの描く女性の豊満さが好きです。
「無口な女」は、何とも謎めいた表情。組んでいる指輪をはめた手は、そのまま動き出しそうです。これがラファエロ20代はじめの作品と言います。
「友人のいる自画像」で、友人の背後にいるラファエロの自画像の読み取れない視線も見る人に問いかけてきます。
これが晩年、というにはあまりにも早い、37歳で亡くなる頃~その2年ほど前と言われる作品。何を意図しているのか、気になります。
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ショスタコ論

先月の日経新聞の文化欄に、工藤庸介氏の文章が載っていました。
氏の本業は農学方面の研究者。
音楽の専門家ではないのですが、ショスタコーヴィチの愛好家で、運営するwebサイトはよく知られています。
webサイトを元にしたユーラシア選書の「ショスタコーヴィチ全作品解読」は、私は持ってはいませんが、購入を検討した一冊です。レビューにコメントしている人々が皆、それぞれにこだわり度が高いのが感じられます。
私にとってショスタコーヴィチは、中学や高校時代から好きな作曲家の一人でした。音楽の時間に、当時教科書の終わりの方に載っていた近現代の作曲家にはあまり時間をかけてもらえず、残念だった記憶があります。
ロシアの近現代史を思い、ことに旧ソ連と言う強大な権力を思いながら聞く響きが好きなのかと漠然と思っていましたが、この記事を読んで1つ思い当たったことがありました。
北海道生まれの工藤氏は、ショスタコーヴィチの静寂にロシアと北海道に積もる雪の音を思うと書いています。
北海道に住んでいた私も、どこか同様の感覚でショスターコヴィチを聞いているのかもしれません。
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万葉ジャズ

もとより、ジャンルを超えた音楽が好きで、この欄でも何度か書いていますが、最近気になっているのは、万葉ジャズシンガーと言われる、芝山真知子さんです。
何で読んだのか忘れてしまいましたが、奈良を拠点にこういう音楽をやっている人がいると知りました。
「やまとより」「 It's Been A Long Long Time」の二曲が、ご本人のホームページで視聴できました。
「やまとより」はテナーサックス奏者の尾田悟さんの作曲と言います。
万葉集の和歌にスタンダードジャズを乗せた曲に、伸びやかな歌声。
もっと和歌に対する理解を深めたいという思いにさせられます。
今は地元を拠点に、イベントや店舗などでの演奏会が多いようですが、活動の広がりに期待しています。
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「花」

この季節になると、聞きたくなるのは、滝廉太郎の「花」です。
歌詞が美しいことは承知の上で、とてもフルート演奏が聴きたくなります。
なぜなのだろうと考えてみると、小学生時代の記憶に行き着きます。
少し年上に、フルートが上手くて有名な人がいて、何かのコンサートだったか何だったかで、「花」の演奏を聴きました。
心に沁みる、とても美しい演奏でした。
その彼女は、今は後進を指導しつつ、演奏活動を行っている、と聞いています。
ところで残念ながら、これほど「花=フルート」と思っているのに、手持ちのフルート関係のCDの中に、「花」の演奏がひとつもないことが判明。
この渇望は、実はないものへの憧れだったのかも、などと思っています。
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それでも、生きてゆく、風が運んでくるもの

フェイスブックで友人がお薦めしていて、久しぶりにこの曲を聴きました。
辻井伸行さんの「それでも、生きてゆく 風が運んでくるもの」。
辻井さんが音楽を担当した民放系のテレビドラマのテーマ曲です。
ドラマ自体を見ないのですが、このドラマは少年犯罪をモチーフとしたもの。
新聞等で読んだ範囲で知る限り、犯罪被害者と加害者の遺族・家族をめぐる関係を扱っていて、決して明るいものとは言えません。
しかし、辻井さんの音楽が優しく、強く、すべてを包み込んでいたのではないかと想像します。
このテーマ曲は辻井さんの他の自作の曲と同様、癒しとともに再生への強さを感じさせます。
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ペンギン・カフェ・オーケストラ

「環境音楽」というジャンルが、説明としては一番一般的に聞かれるようですが、それともちょっと違うような、懐かしいような、穏やかさに心落ち着くような、それでいてときめくような・・・
ペンギン・カフェ・オーケストラの音楽は、曖昧で、たくさんの修飾を伴うように思います。
日本でもCM等でよく使われました。
当のペンギン・カフェ・オーケストラの演奏ではなく、吹奏楽か弦楽か、何かのアレンジを聞いたのが最初だったように思います。
サイモン・ジェフスがあまりにも若く逝ってしまい、驚きとともに落胆したのが約15年前。
今は息子のアーサー・ジェフスが「ペンギン・カフェ」を結成。昨年、初アルバムの日本版もリリースされました。
「オーケストラ」の結成よりも後に生まれたアーサーによる新生「ペンギン」は、古き良きものを受け継ぎつつもフレッシュに響きます。
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日本の歌~花は咲く

しばらく更新が滞っている間に、第九の季節になってしまいました。
先月発売になったソプラノ歌手森麻季さんの「日本の歌~花は咲く」がとても良いです。
一部楽曲を共演収録している辻井伸行さん、山岸茂人さんのピアノも素晴らしい。
15曲はすべて日本語の歌です。
復興支援ソングであり、アルバムの表題の「花は咲く」のほか、「赤とんぼ」「見上げてごらん」など。
森さんは発声がはっきりしていて、とても聞き取りやすいということを再確認しました。
日本語の美しさ、森さんの歌の美しさ、それらが相互に引き出されているアルバムだという気がしました。
選曲が親しみやすく、聞きやすいアルバムでもあり、プレゼントにしたいと思っています。
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