2012.11.10 Saturday 06:19
今朝の一曲はバッハの「マタイ受難曲」より。
バッハコレギウムジャパンによる最終合唱です。
今年はバッハコレギウムジャパンの指揮の鈴木雅明氏が、バッハゆかりのライプチヒ市からバッハメダルを受賞しました。
バッハ演奏に功績のあるこの賞を日本人が受賞したのは初めて。
鈴木氏の指揮というのは、宗教心あふれる、などとよく表現されますが、欧州のキリスト教文化を日本人が深く理解し、評価されたことは本当に誇らしいことだと思います。
バッハコレギウムジャパンの合唱は、ドイツ語の発音が非常に正確であると現地でも高い評価を得ていると聞きます。
非常に透明感のある演奏。これは日本の奇跡ではないかと、少し大仰かもしれませんが、そんな風に思います。
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2012.11.02 Friday 06:27
フェルメールの画集を見る機会がありました。
フェルメール。
今年は9月まで国立西洋美術館で行われた「ベルリン国立美術館展~学べるヨーロッパ芸術の400年~」に、「真珠の首飾りの少女」が展示され、さらに認知を広げた一年だったように思います。
現存するフェルメールの絵は決して多くないそうですが、そのほとんどは構図が同じだと言われます。
「真珠の首飾りの少女」も同様で、室内の片隅に、片側から光が差しこんでいる形。
最小限のものしか描いていないのに、光の当たり方が部屋の様子をさまざまに推測させます。
有名なのはターバンの鮮やかなフェルメールブルーが印象的な「真珠の耳飾りの少女」ですが、こちらの「真珠の首飾りの少女」の少女の存在感はとても素敵です。
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2012.10.30 Tuesday 03:09
友人が映像と組み合わせたユニークな作品をYoutubeにUPしていたので、久しぶりに手持ちのCDでパッヘルベルのカノンを聞きました。
パッヘルベルのシャコンヌか何かをミニリサイタルで聞いたことがありますが、そんなに一般に知られているとはいえず、カノンがパッヘルベルの残した唯一と言っていい著名な曲ではないかと思います。
友人の試みもそうですが、もっともいろいろな形でアレンジされている曲のひとつです。
CMや劇中化、ポピュラーミュージックの挿入歌などさまざま。
クラシック音楽の中には、こうした編曲を嫌う曲、というか、作曲者が意図したであろう演奏形態以外は冒涜のように感じられるのもありますが、この曲は自由自在であるように思います。
それも明快で単純な構成がなせる技なのでしょうが、時を経てこれだけの形で表現される曲というのは、凄いです。
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2012.10.21 Sunday 23:39
ジョンケージについてブログの短文で書くのは、あまりにも無謀だと思いつつ見送っていました。
曲の演奏時間である4分33秒の間、まったく演奏者が楽器を弾かない「4分33秒」。コンサートホールの権威への挑戦、ホール内外の音に注意を向けさせるものなどと言われています。
前衛芸術全般、そんなに得意な方ではないのですが、ジョンケージの世界に東洋の文化はしっくりくると、解説文を読む前のファーストインプレッションがそうでした。
そんなケージの世界を表現する恰好の舞台が先月ありました。
アルディッティ弦楽四重奏団の「ケージの中の日本」です。
狂言師の野村萬斎との共演が大きな話題になりました。
よく西洋と東洋の文化が融合、という言い方をされますが、もともとケージの世界には日本の「静」や「無」に重なるものがあると思います。
ケージの生誕100年である今年は、あらためて作品を見つめ直したいと思っています。
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2012.10.05 Friday 06:21
今朝の一曲はジョージ・ウィンストン「AUTUMN」より「longing/love」です。
日本ではCMやテレビ番組などに使われ、ニューエイジピアノソロ曲の中で、もっとも知られている一曲です。
いくつの時だったかはっきり記憶がありませんが、中学生か高校生のとき、自分でチケットを買ってジョージウィンストンのコンサートに行ったことがあります。
素晴らしかったー。
それがスタイルであるラフな格好で、ギターを1本持ってステージに登場した瞬間を、今も覚えています。
当時、この曲に込められたジョージの思いをもっともっと言葉で知りたいと思いましたが、育ったモンタナの四季をテーマとした、ということしかわかりませんでした。
聞いていると、いつも大自然の中に抱かれているような気持ちになります。「longing/love」に憂いや葛藤とともにくっきりとした強さを感じるのは、そのせいかもしれません。
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2012.10.01 Monday 22:48
少し前に友人がフェイスブックで紹介してくれていた辻井伸行の自作・演奏曲「コルトナの朝」を聞きました。
辻井さん自身がイタリア・コルトナを訪れたときに着想して書いた曲だと言います。
鳥たちのさえずり、木々のざわめき、そういった爽やかさや癒しだけでなく、万物が生き生きと立ち上がるような朝の力強さを感じさせる曲で、何度も聞きました。
辻井さんは知られている通り、生まれながら目の不自由な方ですが、お母さんは彼が子供のころ、美術館へ連れて行って、絵の解説をひとつひとつ丁寧にしてくれた、というエピソードを読んだことがあります。
そういった経験もすべて今の表現につながっているのかもしれない、とふと思いました。
心澄み切る「コルトナの朝」。行ったこともないイタリアの田舎町が浮かんでくるようでした。
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2012.09.29 Saturday 21:17
先週、バイオリニストの諏訪根自子さんが亡くなっていたというニュースが流れました。92歳でした。
亡くなったのは3月。半年以上も過ぎてからのニュースでした。
ブロマイドは何度か見たことがありますが、美しいプロフィールが印象的で、「華麗」という言葉が似合う人です。
「神童」と呼ばれ、1930年代にベルギー留学を果たし、ナチス・ドイツのゲッベルスからストラティバリとされるバイオリンを受け取ったというエピソードでも知られます。
何かと話題が多く、謎めいた人であったようです。
追悼盤が出るのでしょうか。今後はそちらに注目したいと思っています。
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2012.09.19 Wednesday 00:25
コンサート情報を見ていると、見慣れないホール名がありました。
以前住んでいた街にゆかりの企業名がついているので、その街のものだろうと意識下に思いながらしばらく時が過ぎました。
最近になって、それが何度か足を運んだ大規模施設だと知りました。
予想通り、知名度の高い企業がネーミングライツ(命名権)を取得していました。
もともとのホール名は、そんなに思い入れがあった、文化の香りがあるようなものではありませんが、やはりこうして企業の名前がつくと、その企業に対する自分のイメージが先行して、ちょっと落胆するような気持ちになります。
スポーツの分野では、もっと協賛企業を募集している施設が多いですが、契約満了とともにほかの企業がネーミングライツを取得して名前が変わるなど、利用者にとっては混乱しかねないケースもあります。
何より、名称というものはその施設に対する愛着につながっていることを考えると、存続のための資金確保という面でやむをえないとはいえ、ネーミングライツというシステムそのものに複雑な思いがしました。
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2012.09.18 Tuesday 06:28
上原ひろみの新作「MOVE]が出ました。
アンソニー・ジャクソン、サイモン・フィリップスとの「ザ・トリオ・プロジェクト」は、前作「VOICE」に続き第2弾。
前作のテーマは「人々の心の声・感情の起伏」がテーマでしたが、今度は一日の時間帯に応じて変化する感情」がテーマだと言います。
いわば、一日のサウンドトラックのような作品です。
このトリオの圧倒的なスケール感に包み込まれると、何というか心が大きくなります。
一日の空気感さえ想起させる「MOVE」。11月にはツアーも予定され、こちらも注目しています。
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2012.08.10 Friday 05:53
子供のころ、姉の影響で吹奏楽のコンサートに行く機会が多くありました。
そのため、吹奏楽用に編曲された曲から、その曲を初めて知る、ということがよくありました。
その中のひとつが「ウエストサイドストーリー」。
今でも中学の吹奏楽部あたりでよく演奏され、定演の定番ともなっているようです。
中でも「トゥナイト」は、よく聞きました。
ウエストサイドストーリーは、シェークスピアのロミオとジュリエットに着想された作品で、ニューヨークの少年ギャング団の抗争の中で、犠牲になる男女とその恋を描いています。その恋人たちが自分たちの気持ちを確認するシーンの曲が「トゥナイト」。
吹奏楽、もしくはオーケストラの重厚な、というか野太い感じに耳が慣れてしまっているのですが、以前、リサイタルで聞いた声楽バージョンも素敵でした。
ソプラノとテノールの掛け合いが、まさに恋人たちを連想させていました。
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