2011.06.24 Friday 23:57
日経新聞の「私の履歴書」を読みながら、ジャズピアニストの山下洋輔さんのすごさをあらためて感じています。
私が文学と音楽を行ったり来たりしている人、というイメージを強めたのは、山下さんが文を書いた絵本でした。「もけら もけら」というこの本は、ジャズで聞こえる世界を言葉で表現したものと思われます。「えぺ ぴて ぱて」「じょわらん じょわらん」・・・。「ジャズ語」ともいえるような文が、モダンアートの挿絵とともに展開します。
一方、よく知られている「寿限無」は逆に、落語をもとにした音楽。自身の著作も数多く、音楽だけでなく、文学にも表現のチャンネルをもつ豊かな才能に、ただ感嘆します。
もとは音大の作曲科出なのでクラシック形式の曲も多い上、「ピアノ炎上」や封鎖された大学内での演奏など伝説的なエピソードは枚挙に暇がありません。
奇才、その言葉がふさわしいアーティストです。
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2011.06.17 Friday 14:37
12月の公演情報の中に、オペラ「ヘンゼルとグレーテル」を見つけました。
大好きなオペラです。
クリスマスの季節、バレエなら「くるみ割り人形」、音楽なら「第九」、そしてオペラなら「ヘンゼルとグレーテル」が定番です。
森へいちご摘みに行った兄妹のヘンゼルとグレーテルは道に迷い、眠りの精に眠らせられます。露の精のおかげで目を覚ますと、そこに「お菓子の国」が・・・。
子供ならだれでもあこがれる「お菓子の国」がこの作品のモチーフです。
音楽はフンパーディンク。最初に知らずに聞いたときはワーグナーかと思いました。
後でワーグナーの下で働いていたことがあり、道理で手法もトーンも重なるはずです。
もとはフンパーディンクが親族のために家庭劇にしたものを作曲し直したという作品。後に婚約者へのプレゼントになったといいます。作品全体にあふれる愛を感じるのはそのせいでしょうか。
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2011.06.08 Wednesday 15:20
芸術は「横」に見るとき、面白さが増幅する、と思います。
音楽家であれ、画家であれ、その時代に一緒に生きた他のアーティストとの交流を知ると、作品を深く味わえるように思います。
例えばクライスラーとラフマニノフ。
この二人は同時代を生き、全く違う性格ながら親しく付き合っていたと言われ、アンサンブルも残しています。
有名な「愛の喜び」「愛の悲しみ」もクライスラーの原曲をラフマニノフが編曲したものです。
二人とも大好きな作曲家ですが、一体、どんなやり取りを重ねながら後代に残る作品を創り上げていったのでしょうか。
資料に残る人となりも、作品のイメージも全く違う二人。
遠い国の、昔昔の人であることの多い芸術家の人間としての横顔が、くっきりと立ち上って、身近に感じられてきます。
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2011.05.23 Monday 07:29
バイオリニストの松本蘭が一昨年にリリースしたファーストアルバム「蘭ing」を聞きました。
09年にミス日本着物賞を受賞し、ビジュアル系のイメージが強くなりましたが、「高嶋ちさ子12人のバイオリニスト」のころから存在感がありました。
「亜麻色の髪の乙女」や「ユーモレスク」など親しみやすい曲が多い「蘭ing」ですが、その中でヴュータン「アメリカの思い出」が目を引きました。
有名な「ヤンキードゥードゥル」(アルプス一万尺)のメロディーを元にしたユーモアあふれる曲です。
このCDにはほかにリムスキーコルサコフの「シェラザード」のアレンジもあり、選曲にこだわりを感じました。
きらめく才能があってこそ聴く人を楽しませることができる自由な遊び心。
ミス日本に出てみたり、さまざまな分野のアーティストと共演する彼女の姿と何となく重なります。
一方でヤンキードゥードゥルやほかに収録されている「ルーマニア民族舞曲」、それに「着物」。現代的な容姿の彼女と、古きよきもの、懐かしきもののコントラストもまた、魅力に感じます。
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2011.05.04 Wednesday 14:33
もう結成60年と聞いて驚きました。
片田舎の中学生だったとき、地方公演のポスターを見たのがイムジチを知った最初です。
イムジチ=ヴィヴァルディ「四季」として、クラシックファン以外にも広く知られているのではないでしょうか。
今年は日本でもアニバーサリーツアーが予定されています。
結成メンバーが全員退団した今、何が「イムジチ」なのか、突き詰めて考えるとよくわかりません。
もっと幅広いバロック音楽に挑戦してほしいーといった旨の辛口の批判の声もあり、頷けるところもあります。
しかし、メンバーが変わり、解釈に変化があっても、イムジチの「四季」にはある種の懐かしさがあります。
確かに受け継がれているものがあるーその歴史の重みが、「イムジチ」たるゆえんなのかもしれません。
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2011.04.29 Friday 02:10
この場合、コンサート会場そのものは除きます。
それ以外でクラシックを聞く、私の好きな場所は図書館でした。
子供のころ通っていた図書館では、たくさんのレコードを聞くことができました。膨大な手書きの目録をめくり、紙にメモして係員に渡すアナログさも今となっては懐かしいです。今は残念ながらほとんどCDになったようです。
音へのこだわりはある方でなく、また語ることもあまりできませんが、レコードで聞くクラシックは、たとえイヤホンであっても表現しがたい格別なものでした。
時折入る雑音もまた良し。
あの時聞いた音に比べると、CDは整いすぎて、優等生の発表を聞いているようなところがあります。
最近は調べ物をしていてネットで検索し、一部だけ聞くこともありますが、つい画面に目が引っ張られるせいか、演奏が最上のものでも薄く聞こえてしまいます。
あの図書館の匂いが久しぶりに懐かしくなりました。
似た感覚を味わうために、レコード喫茶でも探しましょうか。
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2011.04.11 Monday 00:15
ラフマニノフの前奏曲嬰ハ短調。
音楽院を卒業したばかりの若かりし頃、作曲されました。
最も有名な作品の一つです。
スケートの浅田真央選手がフリーの曲に選び、一躍有名に。解釈やその選択をめぐって、話題にもなりました。
曲は憂鬱な和音のパターンが続き、抑えたままフィナーレへ。
小品集に収められた短い曲ですが、存在感があるおとなの曲です。
冒頭の美しい響きは、そのままロシア正教の教会の鐘の音に重なります。
以前住んでいた町にはいくつかの教会があり、その中でもロシア正教の教会の鐘の音は印象的でした。決して明るくないけれども、清浄で荘厳な響き。あの鐘の音と街の情景を思いながら、この曲を聞きます。
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2011.04.10 Sunday 23:21
フランツリスト国際ピアノコンクールで、日本人ピアニストの後藤正孝さんが優勝しました。リスト生誕200年にあたる今年、うれしいニュースです。
演奏はピアノ協奏曲第一番。
カデンツァが多用される華やか、かつ豊かな曲調で、オーケストレーションも絶妙。ロマン派の中では豪華なイメージのある曲です。
しかしミーハーと言われてもリストの技巧を見せつけるような曲が好きな私には、通好みという印象があり、実は今まであまり聞いたことがありませんでした。
後藤氏の演奏の詳報を楽しみに待っています。
悲しみをもって日本が世界のニュースで語られる今、心から明るく、うれしい知らせでした。
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2011.03.24 Thursday 15:10
ROCOの「こどもじゃず」が人気です。
昨年の夏ごろ、経済系の雑誌でトレンドの話題を扱った記事を読んだ記憶がありますが、気付くとシリーズ化され「3」まで出ていました。
童謡をジャズ風にアレンジしています。
子供のCDは大人が一緒に聞いているうちにうんざりするという声を聞きますが、これは大人も十分楽しめます。
長く歌い継がれてきた童謡は、美しい日本語表現が多いですが、おとながあらためて聞くにはちょっと物足りない。それがこのCDでは絶妙にアレンジされています。
いわゆる本格的なジャズというよりは「自由にうたう」というイメージです。
個人的には「3」の「おにのパンツ」や「兎のダンス」が好きです。
懐かしいのに新しい。ありふれた表現ですが、もはや童謡にとどまらず新たな一ジャンルを築いているように思います。
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2011.02.04 Friday 17:42
西欧の作曲家が描く「東洋」は、より神秘的であるように思います。
特にそれを感じるのは、モーツアルトの「トルコ行進曲」。
モーツアルトのピアノソナタの中では、スケールが大きいものの一つと言われます。
解説によれば、当時、流行していたトルコ調を取り入れ、特に左手はトルコの軍楽隊の打楽器の響きをイメージしているとのこと。
この曲の魅力は、アーティストによって、自由自在に演奏される点にあるように思います。ファジル・サイがジャズ化して弾いたことはよく知られていますが、アクセントの位置を変えたり、長いカデンツアが入ったり、演奏家の遊び心をとても感じる曲です。
ピアノソナタでありながら、4楽章ではなく、ソナタ形式はなく、3楽章構成なのもこの曲の特徴。モーツアルトの自由自在な魂が、演奏家に流れ入っているように感じると言えば、言い過ぎでしょうか。
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