月に寄せる歌

新国立劇場で行われていたオペラ「ルサルカ」の公演が終了しました。
アリア「月に寄せる歌」(白銀の月)はよく知られ、ドヴォルザークの美しい響きが印象的な作品です。
国内で上演されることはほとんどないということでした。
水の精ルサルカは人間の王子に恋をして、人間の姿にしてもらうのと引き換えに声を失う。恋は叶って王子と結婚することができるが、声を出さないルサルカからほかの女性に心を移しー。
「人魚姫」を彷彿とさせる切ない悲恋の物語です。
ドヴォルザークの故国・チェコ出身のキズリンクの指揮、ノルウェー・オスロ国立からのプロダクションレンタルと話題満載。。
前評判を裏切らず、各メディアでも高い評価を得ていました。
あまり馴染みのないチェコですが、あこがれをかきたてられています。
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音楽の展開

知人のピアノ弾きの男性が、新しい曲を披露してくれました。
SNSで知り合った人の詩に曲をつけ、演奏もそのSNSの音楽好きのメンバーによるもの。スタジオに集まって収録し、YouTubeにUPしていました。フェイスブックで告知していて、音楽の新しい生まれ方を感じました。
CDも送っていただいたので聞いていますが、この曲が素晴らしい出来。
身びいきだけではありません。
ネットでの出会いで生まれ、ネットで発信して育っていくーこれまで以上にそういう音楽が増えていくのかもしれないと実感しました。
ブログやツイッターなどで個人が情報や文章を発信できるようになり、プロのライター集団による媒体が油断できなくなったのと同じことが、音楽の世界にも起こりえると感じています。
もっともそれでも素人には侵せない領域があるのがプロの存在意義であるわけですが。
さまざまな形の音楽によるにぎわいを感じています。
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ラストコンサート

知人のフルート演奏家が事実上、引退しました。
演奏活動のかたわら、地方都市の教室でフルートを教えていました。
まだ40代なので、エッとちょっと驚きました。
教室の生徒が減ってきたのも一因と言います。日本でのフルートの生産台数はピアノに次ぐ、とも聞いたことがありますが、有数の輸出国でもあるので、演奏人口となるとどうなのでしょう。
ラストコンサートは自作の曲を中心に、バッハの無伴奏フルートパルティータイ単調、それにポップス系の曲が織り込まれていました。
地域の歴史文化に根差した曲も作っていた人なので、残念な気がします。
第二の素晴らしい人生を、祈りたいと思います。
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ブリテン

最近、英国の作曲家・指揮者、ベンジャミン・ブリテンの名を聞くことが増えました。
ブリテンというと、すぐ思い浮かぶのは「青少年のための管弦楽入門」「戦争レクイエム」。そして今秋、新国立劇場でバレエ「パゴタの王子」が初演されます。2年後に生誕100年を迎えることもあって、これまで比較的マイナーだった曲が演奏される機会も増えています。
この「パゴタの王子」は、バリのガムラン音楽に影響を受けていることでも知られます。
どこでガムランに?と、以前から疑問でしたが、現地を旅行して影響を受けたようです。発表された1956年当時の状況が今ひとつピンとこなかったのですが、自由に渡航滞在できたのでしょうか。
「パゴタの王子」は、全曲を聞くには意外に選択肢が少ないようです。
ユニバーサルミュージックが没後30年を記念して2006年に自作自演盤をリリースしていますが、今は入手が難しい状況。何とか中古を探して聞きたいと思っています。
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音楽と動物

たまたまネットで見ていて、写真の面白さに惹かれました。
一人の女性が海に向かってバイオリンを弾いています。
サントリーのHPの中にあった椎名誠さんのエッセーでした。
アイラ島でアザラシを相手にバイオリンを弾く女性を扱っていました。女性が岩の上に立ち、海に向かってバイオリンを弾き始めると、アザラシが次々と頭を出し、終わると海へ帰ってゆくと言います。
この文章を読んでいて思い浮かんだのは、セロ弾きのゴーシュでした。
ご存じ宮沢賢治の童話です。町のオーケストラのセロ弾きゴーシュが自宅を訪問してくる動物を相手にセロを練習する物語。
もともと音楽は、鳥のさえずりや小川の流れなど自然の音を模倣していると考えられる側面があり、それゆえ動物にも心地よいと感じることができるのかもしれません。
動物と人間の音声系列を分子レベルから行動レベルまでさまざまな階層にわたって分析する学問もあります。動物も人間もひとつのいのちーという感じがして、好ましく思います。
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一斉演奏

先月、台湾で子供4645人が一斉にバイオリンを弾き、ギネス記録を更新した、というニュースを聞きました。
報道によると、参加したのは3歳から18歳まで。これまでのギネス記録はロンドンの4000人だったそうですが、今回の演奏は、規定の5分間を30秒上回るものだったと言います。
演奏が行われた台湾中部の彰化県は、バイオリン教育に力を入れているとのこと。さぞ壮観だったことと思います。
向かいのおばあさんが弾いている大正琴の音色を聞き、こちらも一斉演奏の記録があったはずだと思いついて調べたら、2009年に琴伝流が2864人のレコードを打ち立てていました。
何の曲を、どんな形で、といった具体的な様子を知りたいところですが、この手のニュースは短いのでその術がなく、数千人規模の響きに思いを馳せ、想像するのみです。
大勢による一斉演奏といってほかに思いつくのは、サントリーの「一万人の第九」。気づけばもう冬の声を聞く季節になりました。震災のあった今年は、一斉演奏による連帯感に特別のメッセージを覚えそうです。
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矢野顕子トリオ

ブルーノート東京のHPを見ていたら、きょうは矢野顕子トリオが出演する日でした。
デヴィットサンボーンらと共演を重ねたウィル・リー、それにナタリーコールらのサポートを務めたクリス・パーカーとのトリオです。
心だけブルーノートへ飛びました。
矢野顕子の曲を聞いていると、いたずらっ子の後を追いかけているような気分になります。
音符の上を飛び跳ねて、笑いながら妖精のように逃げるいたずらっ子。
彼女の曲は、遊び心がたっぷりで、「○○的」と表現しきれません。
やたら歌詞に食べ物が出てくるのですが、それが妙にしっくりくるのは何なのでしょうか。決して散文的にはならず、それさえも小粋におめかししているような感じです。
音楽は限りなく意味を求めず、自由に楽しむこと。
豊かな才能に、あらためて教えられる気持ちです。
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上原ひろみ

ラジオでチックコリアの話題を耳にし、ふと聞きたくなったのが上原ひろみです。
ジャズピアニストという肩書きに違和感を覚えるほど、ジャズの枠にはおさまらない人。17歳のときにチックコリアに見出され、共演したエピソードはあまりにも有名です。
年間100日は世界各地で公演しているそうですが、エネルギッシュな演奏がとても好きです。
作曲も手がける才気あふれるアーティストなだけに、アイドル風な売られ方をしているのが、少々もったいないような感じすらしています。
オフィシャルサイトによると、今年の11月には「ヴォイス」のトリオで、日本各地のツアーが予定されています。
熱風のようなあの演奏に、力をもらいたくなりました。
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オカリナの世界

音楽好きの知人が、オカリナの曲を自作し、YouTubeで試聴できるようにしてくれました。
以前、オカリナ奏者の知人にインタビューをしたことはあったのですが、オカリナという楽器にじっくり向き合ったことはありません。柔らかな音色ににわかに興味がわいてきました。
いずれもネットで試聴できたもので、全曲ではありませんが、オカリナのもつ可能性に惹きつけられました。非常に素朴な音色なので、マッチする曲は限られていると思っていたのですが、佐藤一美さんの「チゴイネルワイゼン」 (サラサーテ)は、背すじを這い上っていくようなイントロで、全く別物でありながら、全く違う世界を見せられた思いがしました。
オリジナルはもちろんですが、クラシックやポピュラーな曲も、オカリナによって全く別の曲に生まれ変わるようなそんな感じがします。オカリナ、今気にかかる存在です。
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田園

ベートーヴェンの交響曲第6番「田園」は、とても好きな曲の一つです。
メロディーが可憐で、とにかく聞いているだけで心が弾みます。
田園や小川の情景を思い起こさせる旋律、鳥の鳴き声を模した木管楽器の掛け合いがとても好きです。
大自然の恵みを喜び、偉大なる神への感謝と敬愛あふれる曲。
ウィーンフィルをはじめ、ヨーロッパの溶けあった響きのオーケストラがよく似合うように思います。
ヨーロッパで作られた曲のはずなのに、日本の自然情景にもしっくりくると思うのは私だけでしょうか。それだけ自然というものが普遍的だからかもしれません。
雪解けのころ、春の喜びを味わいながら聞くことの多い曲ですが、連日猛暑の日々だからこそ、この曲を手に取りました。
どんなときも私たちは大いなる自然に抱かれている、そう気付かせてくれる曲でもあります。
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